前前会長の最後の部屋

前北海道公立小中学校事務職員協議会 会長 常陸 敏男(ひたち としお)

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支笏湖にて

去る9月9日の総会で、無事退任することが出来ました。4年間、全道の会員の皆様には大変お世話になりました。各地にお呼びいただき、現地のおいしいお酒をいただきながら学校事務を語ることも数多く記憶に残っており、大変有意義な経験を積ませていただきました。私も、少しは皆様方のお役に立てたのではないかと思っています。

「会長の部屋」は、本当は毎月更新することになっていたのですが、思うように筆が進まず、万が一楽しみにしている方がいらっしゃいましたら申し訳ないことをしました。でも、お話ししたいことは沢山あったわけで、執筆途中のもののタイトルは「コミュニティースクール全校へ」「中学格付けなお存在」「アイリーンスミスのニコンF2」「道子のこと」などがあり、タイトルが決まっていなくて執筆中のものも3編ほどあります。いずれ、ブログでも作って紹介できたらなあ、と思うこともありますが、何時になることやら・・・。

さて、最後のご挨拶の機会にふさわしいかどうか分かりませんが、一つだけ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。今年の第66回全道事務研開会式での私の挨拶が業界紙(北海道通信)で紹介されたので、お読みになられた方も多いと思いますが、中教審答申に関する発言が言葉足らずではないかとのご指摘を直接・間接にいただきました。開会式に出席された方はおわかりと思いますが、開会式の挨拶の中では私の考えをしっかり述べさせていただいております。以下に、関連部分の全文を掲載しますのでよろしくお願いします。

(前略)
思い起こせば、東日本大震災・原子力発電所事故に始まり、今春の熊本地震、そして温暖化の影響でしょうか、各地でゲリラ豪雨や竜巻の被害が頻発し日本列島が厳しい自然とともにあることを痛感致します。こじつける訳ではありませんが、それに呼応するかのように、昨今の国内外の状況もまた混沌としているように思います。頻発するテロ、難民、国境を巡る問題、格差と貧困、そして特にこの一年は憲法解釈と憲法改正の是非を巡り世論が大きくうねった一年でした。これらの問題は今後もその複雑困難さを増していくことは間違いないと思われ、これから大人へと巣立っていく子どもたちは否応なしにその困難に立ち向かっていかなくてはならないのかもしれません。

さて、中央教育審議会が昨年12月に答申した「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」では、「チーム学校」が必要な背景として「子供たちが今後,変化の激しい社会の中で生きていくためには,時代の変化に対応して,子供たちに様々な力を身に付けさせることが求められている」としています。それは1996年の第15期中教審答申から受け継がれる「たくましく生きる力」というキーワードに象徴される考え方ですが、ともすると、「たくましく生きる力」というと、どんな困難にも負けない力とか、自ら困難を切り開いて行く力を思い起こしますが、私は「たくましく生きる力」ということの今日的意味合いは「人と人とが助け合い支え合う力」、それも「思いやりの心」だけでなく、実際に「助け合いの社会を築いていく力」なのではないかと考えています。そのような考えでなければとてもこの複雑化した社会をみんなが生き抜いていくことはできないのではないかと思うからです。

また、中教審答申では学校事務職員の役割についても言及されており、学校事務職員がこれまで以上に学校運営に積極的に参画することが期待されています。北海道の学校事務はこれまで「子どもの生活の場としての学校づくり」の視点で学校運営への参画や「教職員の協力協働」という形での“チーム”づくりにもずっと昔から取り組んできており、既に個々の事務職員にその意識は根づいていると考えます。従って、「チーム」という言葉だけが一人歩きしてはいけないと思いますし、達成度を数値化するような施策は行うべきではありません。多様な地域、多様な子ども、多様な実践、多様な学校の中に多様なチームが存在しなくてはならないと思うからです。

皆さん、この二日間ではぜひ、子どもたちの明日に思いを馳せながら、明日の学校事務ついて明日の学校教育について語り合いましょう。すべての子どもたちが憲法の保障する基本的人権に守られ、教育を受ける権利を謳歌し、ともに生きる持続可能な社会作りの担い手として育つ学校づくりを目指しましょう。第66回全道事務研は、ここ釧路の地で36年ぶりに開催される運びとなり、すべての準備が整いました。現地実行委員会のご奮闘に感謝の気持ちを込めて有意義な大会としていくことを、参加者一同で確認したいと思います。どうか、最後までの討議への参加をよろしくお願い致します。
(後略)

4年間本当にありがとうございました。

2016年10月8日