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第5分科会

 講座(演習を含む)・学校事務

 

講座講師 北星学園大学教授 横山 純一
協 力 者 富良野市立富良野小学校 竹口 茂樹
新篠津町立新篠津中学校 高橋 方也
壮瞥町立壮瞥小学校 安住  裕
問題提起者 組織対策委員長(豊頃町立茂岩小学校) 高井 久志
司   会 組織対策委員(木古内町立木古内中学校) 松台 祐吉
組織対策委員(静内町立山手小学校) 藤村  真
記 録 者 組織対策委員(増毛町立増毛小学校) 前田  貫
弟子屈町立弟子屈小学校 加賀谷直樹
運営委員 組織対策委員(函館市立亀田中学校) 中村 良己
参加 人数  1日目 240名   2日目 204名

 

1.講座「地方財政(教育と地方交付税)」

 1 国・地方の財政関係と地方交付税
 2 国庫負担金制度の今日
 3 地方交付税制度の検討

 国も地方自治体も収入のほとんどは税金である。税収の割合は国65、地方35に対し、支出は国35、地方65になっている。少ない収入で大きな支出をしていることが弊害になっている。国の収入が、公共事業の国庫補助金と福祉・教育感性の国庫負担金、或いは地方交付税交付金として地方に流れるため、地方税収入の額より多い支出ができる関係にある。国と地方の歳出は、国の専管事項で国が全面的に支出している外交費を除くと、何らかの形で錯綜している。防衛費も、基地交付金として地方に来ている。国土保全金及び開発費は12兆円余りあるが、うち5兆5千億円は国が都道府県市町村に補助金として出している。
 文部省の予算は5兆2千億円のうち3兆1274億円、つまり5割以上が国から地方に対する補助金や負担金になっている。この中にかなりの割合で入っているのが義務教育費国庫負担金。学校事務職員・栄養職員の給与費について国庫負担から外そうという動きが見られているが、厚生省予算の保育所の保母さんの人件費についても一般財源化したいというのがあり、関係団体の反対が強い。現在、国はかなりの赤字国債を発行している。昭和50年代に赤字国債が発行され、60年頃に臨調行革が行われ教材費の一般財源化が行われた。またそういう問題が浮上してくる可能性が非常に強いことを頭の中に入れておいてほしい。
 地方財政費は17兆数千億円あるが、これが地方交付税交付金になる。その財源は決まっており所得税・法人税・酒税の32%、たばこ税の25%、消費税の約20%で構成されている。もう少し地方税の比重を大きくし、国税の比重を小さくして税収の極端な開きをなくしようという議論がある。革新自治体ブームの時、3割自治批判があったが、その議論には限界があった。自治体の財政力に極端な格差があることに触れないできた。また、新保守主義といわれる経済効率重視の学者も、課税自主権強化を言っている。地方自治の発達した北欧の例を出すが、スウェーデンのように税収の比率が均衡している国も国税の比率が高い国もある。しかし日本よりはるかに自治体の政策形成能力が優れている。私は歳入自治ではなく歳出自治だと思う。地方税収入に依存することになったら、財政力の弱い自治体はどうなるのか。地方においてどれだけ財政力格差があるか。自治省は財政力指数で都道府県を5つのランクに分けている。Aランクは東京・愛知・神奈川・大阪。北海道はDランク。このAランクの4都府県で都道府県税の36.9%を占めている。Bランクまで入れると18都府県で都道府県税の7割まで占める。東京都の収入のうち都税の割合は57.3%。北海道は19.3%で、道税は収入の2割もない。最下位の高知に至っては 9.9%で、1割自治にもなっていない。市町村になるともっと露骨に格差が現れる。だから地方分権を考えるとき、財政力格差をどうしていくかという問題もクリアしていかなければならない。豊かな自治体で地方税が基準財政需要額を上回る場合は交付税はゼロとなる。このシステムでかなり合理的に地方の財政力格差を是正してきた。ところが竹下内閣のふるさと創世1億円事業、その後の地域づくり推進事業、第2次ふるさとづくり事業でおかしくなった。ふるさと創世事業の1億円は、自治体にそれぞれ1億円やるのではなく、基準財政需要額に1億円プラスするということである。それから地方総合整備事業債ができた。これは自治体の借金なのだが、その元利償還費の30〜55%を国が面倒見てくれるという地方にとっては非常にお得な借金である。これも別途ではなく地方交付税の基準財政需要額に中に入れてみますよということである。地方交付税は財源が決まっていて総額は増えていない。ところが最近やたらに何でも基準財政需要額に入れている。事務職員の給与費を一般財源化するというのも地方交付税に入れるということである。教材費もここに入っている。給与費は、教材費とは金額的に桁違いになるが地方交付税の総額は全然増えない。非常に問題である。何でも基準財政需要額に入れたため地方財政力格差是正という性格が変わってきた。
 地方分権で一番問題になるのが建設土木の国庫補助金だと思う。昭和恐慌の時、失業対策のために作ったのだが、戦後ますます拡大強化され、ここに政治家、建設業者が群がり、国の官僚と地方の太いパイプができた。ここに官官接待問題もあったわけで制度疲労を起こしていることは間違いない。逆に高齢者の生活の場としての特別養護老人ホームとかホームヘルパーの部分、そして教育の部分は国が音頭をとって戦略的にやらなければならない。これこそ国庫支出金でやっていくべきものだと思う。地方分権を考えるとき福祉・教育と建設土木は分けて考えなければならない。基準財政需要額は単位費用、測定単位、補正係数から構成される。非常に面倒くさいが、補正係数がさらに面倒くさくする。教育費には小学校費・中学校費・高等学校費があり、小学校日の測定単位に児童数・学級数・学校数がある。仮想の標準団体というのを定めてあり、小学校費では人口10万人、18学級、児童数 720人と想定する。この学校を運営するのに必要な各種の経費を見込んで必要経費の総額を積算する。児童数を測定単位といた場合の計算は、給食調理員の給与、校庭作業員の賃金、消耗品・燃料費・印刷製本費等の需要費、役務費、賠償責任保険料、給食委託料等々を計算しそこから国庫支出金、諸収入を引いたものを、児童数で割り返して1人当たりの金額を出す。その自治体に 500人の児童がいれば 500倍してやることで児童数を測定単位とする基準財政需要額が出てくるというわけである。教育費の補正項目には密度補正、普通態容補正、寒冷地補正、種別補正等があり、これも複雑な算定式で計算され、その補正により経費の割増がなされる。例えば児童数 250人のうち遠距離通学児童が20人いたとすると補正により上積みされて 268人分で見てくれることになる。
 このように本当に細かいところまで決めてやっている。当初はもっと簡単だったが、だんだん複雑になってきた。自治体の財政課の人も自治省の事務官だって全体的に把握できないし、財政学者が交付税全体を把握するのもなかなか難しい。だから、皆さんは事務職員として教育費、小学校の事務職員であれば、せめて小学校費の部分に目を向けてもらいたい。

富良野小学校竹口さんの発表

 富良野市の児童1人当たりの予算額は上川管内で最下位である。管理消耗、振興消耗の不足が目立ちワックスがけもままならない。「学校事務機器整備」「学校図書館利用図書整備」等文部省事業に係わる予算が交付税化されたことを活用して予算要求し、図書費の配当、コピー機の別枠予算化、ファクシミリ全校配置等の成果があった。今後の課題だが、財政当局の厚い壁に阻まれ父母負担軽減は進んでいない。

新篠津中学校高橋さんの発表

 新篠津は比較的裕福な農家が多い。統合が進み小学校・中学校とも1校である。配分予算は石狩管内で1番潤沢ではないか。校内に予算委員会が設置され、鉛筆の1本から載せた要望書は厚さ1センチになる。財政当局は「単位費用は地方交付税を算出する単なる手段にすぎない」と話すが、学校運営上必要な額であり最低限保障されなければならないと押されている。

講師:単位費用が地方交付税を算出する手段にすぎないというのは、ある面では当たっている。予算要望活動をする際、基準財政需要額は学校運営上最低限必要な額と押さえるべき。基準財政需要額に近づける努力とともに学校の現実のニーズに合わせて要望することが大事だと思う。全国的には山梨・岡山等、交付税にこだわりを持ち県全体で勉強会をしたり資料を集めたりしているところがあり、その気運が高まってきている。北海道でも本格的に新篠津をモデルに進めるべきではないか。コンピュータのように学校のニーズに合っていないものもあるが、交付税化された事業についてはやはり重点的に要求していくことが大事だと思う。

空知:基準財政需要額の中に諸々のものが盛り込まれ、当然額が増えるはずだが、収入額は決まっている。その仕組みはどうなっているのか。また、地方交付税の中に地域総合整備事業が入ってきたが、国の狙いは何か。

講師:地方交付税の財源は決まっている。しかも不況の中で所得税・法人税の税収入は下がり気味だし減税もあった。何でも地方交付税に入れ基準財政需要額は膨らむはずだが、単位費用や補正係数、とくに補正係数を操作して抑えている。だからやっていける。交付税はかなり国の方で操作できるというのは間違いない。地域総合整備事業の狙いははっきりしている。一つは地方のユニークな建設事業に対応できず自治体に任せたいこと、もう一つは国の財政の都合がある。公共事業関係の補助金を削減して、後は地方に任せるということ。地域総合整備事業は政府資金ではなく、自治体が地元の指定金融機関から借金をする縁故債である。自治体は自己資金と地域整備事業債での借金で事業を行う。その借金の30〜55%の範囲で基準財政需要額に入れ国が面倒を見ている。地域総合整備事業は問題意識のある自治体がユニークな事業をやっているし悪いことではない。しかし地方交付税に関わらせたのは駄目だ。

協力:義務教育費国庫負担について。税制の整備が進んでいけば地方交付税化されてもいいとの主張もあるが。

講師:義務教育費国庫負担制度は、定数基準との関わりで非常に意義があるし、本来義務教育は国が責務を果たさなくてはならないもの。義務教育に必要な事務職員とは何かという視点を積極的に提起しないと、国庫負担を外していいという議論に対抗できない。学校5日制では学校そのものがトータルに見直される。そのとき義務教育の事務職員はより地域と密接な関わりを持たなくてはならない。一般財源化すれば学校と地域の連携がうまく行くとは思えない。国庫負担外しは分権にも地域のためにもならない。制度をいじることばかり言って、地域の考えが入っていないと思う。

組織体策委員会の報告

事務観の変革にかかわる会員実態調査報告

 事務職員自身、財政のプロとしての自負があるが、今後は経験年数や個性の相違を越えて、学校財政事務と教育情報の運営全体に協力協働体制を機能させるための企画と提案を行う職員間の形勢が課題とも言える。校内研の参加は時々参加を含めて35〜39%という結果になった。学校づくりの過程において校内研参加、授業参観は極めて重要。教科や特別授業を知るべき。それを考慮しない活動はありえない。子どもの育成に積極的に参画していく学校事務の一端が授業研究の中にも現れていると理解すべき。今回の調査から、会員のとまどいみたいなものを感じ取ることもできたが、事務観の変革といった視点が存在することを初めて知ったという感想もあった。全道各地の実践には学ぶものが多数ある。校内研参加では、子どもの様子に主眼を億姿勢が見られたし、子どもの権利条約で問題提起を行っている積極的な取り組み、情報公開に関連するものも見られた。この調査活動を通じ、事務観の変革のための具体的な取り組みの必要性を提起できたと思う。今後の各地域各職場での取り組みに期待したい。

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